はじめに
障害児保育を行うにあたり、大切なことは「知ること」と「慣れること」です。
障害がある児童を受けもつことになると、私もそうですが最初は【大変なんだ
ろうな】と考えてしまいます。
最初はその児童にある【障害】だけに注目してしまい、大雑把に大変そうと考えてし
まいます。
しかし、障害の特徴を知り、関わる中でその児童の【できないこと】と【できること】がわかり、
少しづつ時間が経つと接し方にも慣れてきます。
そうなれば【大変そう】という思いは軽減するはずです。
まずは知るところから
注意欠陥多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム(ASD)など、その特徴を
学ぼうと思えば、専門の書籍もありますし、または大学・短大での授業で使わ
れた教科書もあるでしょう
障害児を園で預かることが決まったら、少なくともそれらの書籍を2~3冊に
は目を通してほしいと思います。
書籍によっては、その障害に対する筆者の思いが違いますので、複数の本を読
まれることをおすすめします。
しかし、書籍に書かれている内容はあくまでも一般的な知識・特徴でしかあり
ません。
以前私が受けもったことがある注意欠陥多動性障害(ADHD)のS君。
その頃は私も経験がなく、注意欠陥多動性障害(ADHD)ついても、皆さん
がもつ印象通り、『じっとしていない、バタバタと落ち着かない行動が多い』と思っていました。
S君を受けもつにあたり、発達障害やADHDについて書かれた専門書を読みましたが
たしかにADHDの児童には、よく見られる行動の1つです。
しかし、S君は比較的慣れた環境であれば落ち着いた行動ができる子でした。
園外での体験学習などで初めての場所に行くと、落ち着かない行動が見られましたが
その程度であれば、どんなお子さんにも見られる行動です。
S君は注意欠陥多動性障害(ADHD)と病院では診断を受けていましたが、軽度のものだったと思います。
どんな専門書にも一般的な特徴や行動が書かれていますが、S君のことについて書かせれている専門書はありません。
担当した先生が作っていくしかありません。
まず知るためには、障害児としっかりと接することが一番です。
知る方法はほかにも
保護者と話す
これも基本になりますが、その児童の生育歴や家庭での様子などを保護者から聞いてみることです。
どんな家庭でこれまで育ったのか、家庭での様子はどうなのかなどを知ることで、いち早くその児童のことを知ることができます。
しかし、ここで一つ注意があります。
すべての保護者の方とは言いませんが多少贔屓目に話される方もいます。
「着替えは全部できます。ボタンも掛け違えません」「トイレも一人でできます」と保護者から話しを聞いていましたが、実際には出来なかったという場面をよく見ます。
障害児でインテグレーションを受けてくれる園が少ない状況の中で、少しでも受け入れてもらえるように、ちょっと話しを盛られる保護者もいます。
担当する先生としては、しっかりと冷静な目で見ることも望まれます。
病院やリハビリ施設へ行く
インテグレーションをした児童は、保育園や幼稚園に通っていても、病院やリハビリ施設に通っていることがあります。
リハビリの様子を見ることも、とても参考になります。
以前、脳の障害により運動機能が低下しているA君を担当した時のことでした。
園生活では特別な車いすに乗り、その児童は立つことも難しいと思っていました。
そのつもりで2ヶ月ほど接していました。
しかし、どんなリハビリをしているのか気になり、ご両親の許可を得て、隠れてリハビリの様子を見に行きました。
理学療法士(PT)の方からリハビリを受けており、なんと立っていたのです。
隠れてはいましたが「クララが立った!」と言ったハイジ並に心の中で驚きました。
園生活では全く立とうとしないA君が、リハビリでは痛そうな顔をしながらも棒につかまり立った姿を見て
「できるんだぁ」と感心し、A君の新しい一面を知ることができました。
病院やリハビリ施設では、そのように園生活では見ることができない姿を知ることできるという利点があります。
児童を担当している病院の先生や、リハビリを行う理学療法士や作業療法士の方と話す機会があると、良い勉強にもなりますし
次に障害児を担当した時にも、同じ先生がリハビリを担当していたということもありますのでパイプ作りにもなります。
障害児を担当することになった時には、病院や施設に行くのはおすすめです。