全国にも広がってほしい障がい児保育園
話題となっている障がい児保育園ヘレンの4園目が豊洲にできるとの話を聞きました。
保育園ヘレンは、重症心身障害児や医療的ケアが必要な児童(医ケア児)が通うことのできる保育園
保育園と幼稚園の違いというと、今ではその垣根が無いように思えますが
昔は「保育に欠ける児童が通う施設」として保育園が位置付けられていました。
今、思うと「保育に欠ける」という言葉は、刺激が強い言葉だなと思いますが、昔はよく使われていました。
保護者がどうしても日中に保育ができないということで、両親が共働きが一番多い理由だったと思います。
ですが、今では幼稚園でも時間外保育を実施されているところもあり
またこども園として幼保一体化となり、ますます幼稚園と保育園の位置付けが曖昧なものになりました。
位置付けは曖昧になっていますが、これからニーズがさらに増えるだろうと思うのが
保育園ヘレンのような専門性に特化した保育施設です。
これまでの経験の中で
重症心身障害児や医ケア児、または障がい児の保護者の方というのは
きっと一般的な幼稚園・保育園に通わせている保護者の方と比べ
お子さんと過ごす時間がとても長いと感じます。
一番の問題は、幼稚園・保育園側には通わせることができず
近所には遠くの専門施設へ通わせることが多かったため
例えば、通園バスようなサービスがなければ
自分で車を運転して、片道1~2時間の距離を移動しないといけなかったり
または、その労力と時間とお金など、いろいろな理由が各家庭であったと思いますが
通園することを諦め、小学校入園まで自宅で一緒に過ごすなどされる家庭もありました。
以前の施設で働いていた時の事例としては
一般的な幼稚園・保育園から通園をいくつも拒否され、社会の中からどんどん突き放される感覚となり
我が子と暗い家の中で過ごす中で、これからの将来も決して明るくないと悲観し、うつ状態になったり
または虐待(ネグレクト含む)、中には親子で命を断つことも考えられていたケースもあります。
親子の距離感
保護者と子どもの距離は、付かず離れずの程よい距離感が大切だと思います。
これは気持ちの距離感のようなものではなく、時間的な物質的距離感です。
24時間365日休みなく続くのが親子の関係ですが、1日の間で2~3時間でも時間的に離れることは
とても有意義のあるものだと思います。
親子がずっとべったりと一緒に過ごしすぎてしまうと、お互いに干渉しすぎて、互いに依存するような関係になりがちです。
「この子がいないと」「この子のためだから」とおっしゃる保護者の方がいますが、その言葉の裏に、「子どもを盾」にされている方もいます。
すべては子どものためだから、すべては許されるといったニュアンスです。
盾にされた子どもにとっては、そのうち負担になってくるのではと、いつも心配します。
私の考えですが、親も子もひとつの個性をもった個人です。
そのことを尊重し、「この子はダメだから」「この子は私がいないと何もできない」ではなく
お子さんはお子さんなりにできる事もできる力も持っています。
ほかの子と比べる必要はありません。親だって、保護者だって、ほかの親をと比べてもいけません。
それぞれに、できる力も能力も環境も違うですから、比べてもまったく意味がありません。
それぞれの個性を尊重することが大事です。だから、物質的な程よい距離感が必要なのだと思います。
そうすることで自分たち親子だけを見るのではなく、お互いが少し外の空気をすって、少し視野を広げること。
これまで通園拒否を受けることが多かった重症心身障害児や医ケア児が通うことができる保育園ヘレン
通園することができれば、保護者も働くことや、もっと視界を外に広げることも時間もできると思います。
私はそのことが、子どもにとっても保護者にとってもプラスになると思いますので
4園目と保育園ヘレンが、もっと数が増え、もっと全国レベルで保育園ヘレンのような施設が増えることを期待します。