保護者に障害を伝えることの難しさと方法

4月にもなり、新しい園児が入園する時期となりました。園児も保護者も、先生方もワクワクドキドキし、またちょっと大変な時期でもあります。

園生活を通してながら、先生方も「あれっ?」という違和感といいますか、なんとも言えない何かが目と心に引っかかるような気持ちになる時があります。

『・・・・この子、もしかして何か障害があるかも』

違和感を保護者にどう伝えるか?

先生方の経験から来る違和感

もちろん、保育士も幼稚園教諭も医師ではないので、障害を診断することなんて出来るはずがありません。しかし、これまでの経験則としかいいようがありませんが、どの先生も自分の中にある程度の基準のようなものを持っていると思います。

「2歳児はこんな感じだよね」「3歳児なら・・・」というように。

 

昔、「ゴッドハンド輝」という医療系のマンガがあり、その主人公の医師が先輩医師より、ある問題を出されます。

「このレントゲン(人の胸部)を見て、何の病気か当てろ」

主人公は、三日三晩そのレントゲンに病気がないか考え、調べます。

結局答えが分からないままでしたが、実はこのレントゲンは全く病気のない人のもの。

そんな時に急患が病院に運ばれ、患者のレントゲンを見ると、今まで病気のない健康な人のレントゲンが見続け、目に焼き付いているので小さな病気にも違和感を感じ、病気を発見することができるようになる。という話がありました。

本物の医者がそのような訓練を行っているかは定かではありませんが、保育園や幼稚園の先生方もいろんな子どもたちを見てきているので、何かしらの違和感を感じる力があると思います。

 

失敗談・・・

昔は保育園でも違和感を感じたらしっかりと保護者に伝える義務や責任感のようなものがありました。

それは「どんな障害でも、早期に対応すれば改善・克服することが多くあるから」という気持ちからです。実際に保護者へ病院に行くように伝え、障害の診断と受ける場合もあれば、全く問題ない場合もありました。経験則からの違和感ですので、間違うこともあります。それでも実際に診断を受け、ADHDなどの診断を受け、早期療育を行ったことで驚くような成長を見せる子もいました。

しかし、最近では段々と言いづらい雰囲気になってきたと感じます。

「この子に障害があるなんて、そんなはずがない」

「子どもも産んだことのないような人に何がわかるの」

「あの先生はバカみたいなこというから辞めさせてほしい」

「ここの園の方針はおかしい」

保護者に【もしかしたら・・・】と伝えたばっかりに、障害があるなしに関わらず大きな問題に発展するケースも増えてきているからです。

私も失敗した経験が何度かあり、上に書いたような言葉も大体言われたことがあります。

保護者の気持ちを考え、「伝えるタイミング」「伝える方」「伝える内容」などをしっかり踏まえないと、子どもの将来のことを考えて行ったことでも、子どもとは全く関係のない大問題へと発展することもあります。

 

どう伝えればよいのか?

タイミング

私は、まず一番考えないといけないのがタイミングだと思います。

保護者の気持ちになれば、【我が子に障害がある】ということがわかる、または疑惑があるというだけでも車で衝突事故にあうのと同等の衝撃があります。

家庭内が落ち着いている時期、園生活にも慣れはじめた時期などであれば良いのですが、就学間近・家庭内に別の問題を抱えている・父子家庭・母子家庭など、保護者と話す中で言っても良いタイミングなのかを見極めることは本当に大切です。

 

伝え方

次に大切なのが、伝え方でしょう。

突然、前置きもなしに「あなたのお子さんは、自閉症スペクトラムです」と伝える方はいないと思いますが、あるお母さんから以前言われたのが

「先生に『障害があるかも』と言っていただいて助かりました。でも、もう少し心の準備がほしかったですね」

はじめから「❍❍くんを病院へ」よりも、「❍❍くん、こんなことが苦手みたいですね」「こんなことが出来ませんでした」というところから少しづつ計画的に時間をかけて保護者に伝えるべきだったなと、その時に反省しました。

 

ほかの伝え方として、少しズルいような気もしますが「別の専門家から伝えてもらう」という方法です。

最初に言いましたが、保育士や幼稚園教諭は医者ではありません。診断もできなければ、障害関係の発言をしたところで信頼感もあまりありません。

保育園や幼稚園で、実施されているところがあると思いますが、定期的に子育て支援課などの役所関係から見回りにくることがあります。

その時に「❍❍くんをどう思いますか?」など少し相談をしてみるのです。医者や専門家を同行されている場合もあり、相談した上でも疑わしい場合は、その旨を保護者に伝えることができます。

専門家の信頼感をちょっと借りるようで申し訳ないのですが、上手くいけばそのまま療育という流れがスムーズにできる場合もあります。早期に対応していただく上でも良い方法だと思います。

 

そして、伝える内容にも大きな問題があるのですが、それは別の記事にて事例をあげながら紹介したいと思います。

 

 

 

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