虐待を受けた子への影響とケアに思うこと

2歳児のS君は、体も同じ月齢の子どもと比べると小さく、表情も乏しく、

自閉症スペクトラムか発達障害を疑われています。

入園したての頃は、園児にも先生とも上手く馴染めませんでした。

周りの人とは全く関わりを持とうとせず、あまり食事もとろうとせず
ただそこに存在だけしているような子です。
そのSくんに大きな影響を与えたのが「虐待」です。

若い両親からネグレクト(育児放棄)を受け、児童相談所に引き取られました。

乳幼児に対しての虐待は、心と体に多大な影響を与えます。

虐待が及ぼす影響は?

虐待を受けた子どもには、以下の影響があるという研究結果があります。

・心的外傷後ストレス障害

・解離性障害

・反応性愛着障害

・発達障害

・学習障害

・自閉症スペクトラム

・ADHD

・知的障害

・脳下垂体の活動低下

・扁桃体が小さい

身体障害で事故や病気などで後天的(生まれた後)になることはご存知と思いますが

先天性(生まれる前)と思われがちな発達障害や自閉症スペクトラムも、虐待により
発症することもあります。

乳幼児期には脳も体も大きく成長します。その成長に大切な時期に虐待でのストレスや苦痛が成長の妨げになります。

例えば脳内にある「脳下垂体」は成長ホルモンの分泌に関係しており、そこの活動低下になると体の成長が低下し、健常児よりも体が小さくなりがちです。

また「扁桃体」が小さくなると、虐待がフラッシュバックしたり、いろんな事に怖がる、恐怖を感じやすくなります。

虐待児のケア

Sくんは少しづつ表情が明るくなってきました。

虐待を受け、養護施設へと移った当初は職員の方からも自閉症か自閉症スペクトラムだと思われていました。

私も当初は、疑っていました。

今では、専門医でも「自閉症スペクトラムかな?」っと言われるほどです。Sくんの年齢ではハッキリとした診断は難しいと思いますが、

そこまでSくんを変えたのは「里親」の力です。

里親には虐待児をケアする研修を受けた「専門里親」と一般的な「養育里親」の2種類があります。

Sくんが預けられたのは「養育里親」の方です。それでも献身的に、本当に我が子のように育てられた結果、1年も満たない間に表情も明るくなり、同じ月齢の健常児と同等とまではいかないものの

園内でも目覚ましい成長を見せてくれます。

保護者の愛情

愛情を向けられずに育った子どもへのケアには、愛情でしか対応できないと改めて実感しました。

血のつながりは大事な事とは思いますが、そこに「愛情」があるかないかはもっと大事なことです。

Sくんの成長を見たことで、その想いは強くなりました。

 

 

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